ジュンチヤバリ茶園

日常,ライフスタイル
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ネパール紅茶、ダージリンとは違う魅力

ダージリンを超えるかもしれない、ネパールの紅茶

1848年、イギリス東インド会社が植物学者ロバート・フォーチュンに命じ、中国から茶の苗木を密かにインドへ持ち出させました。
目的は、ヒマラヤ山麓のダージリンに新しい紅茶産業を築くこと。

標高6,000フィートの土地では育成が難しかったものの、19世紀の終わりには、ダージリンは世界的な銘茶の産地として知られるようになりました。果実や花の香りが広がる繊細な味わいは、いつしか「紅茶のシャンパン」と呼ばれるようになります。

ところが今、ダージリンは少し苦しい状況にあります。
長年の集約的な栽培で土壌が疲れ、オーガニック栽培への切り替えにもコストがかかります。
熟練の茶園管理者も減り、労働争議などで収穫が減ることも少なくありません。

そんな中、いま注目を集めているのが、国境を越えたネパールの紅茶です。
ダージリンと同じような高地の斜面に茶木を植え、若く力強い木々が、豊かな土壌のもとで育っています。
起業家的な農家や工場のオーナーたちは、中国や台湾の技術も取り入れながら、香り高く個性ある紅茶をつくり出しています。

その代表格が「ジュン・チヤバリ茶園」。
2000年にギャワリ兄弟が設立した茶園で、「ダージリンの真似ではなく、自分たちの理想の紅茶をつくろう」という思いから始まりました。
彼らの紅茶は、渋みや苦味が少なく、まろやかで飲みやすいのが特徴です。

実はネパールでの紅茶づくりの歴史は古く、19世紀にはすでにお茶の木が持ち込まれていました。
しかし長い間、ネパールの茶葉はインド商人に買われ、「ダージリン」として売られていた時代もあったそうです。
今でも市場で「ダージリン」として流通する紅茶の量は、実際の生産量の約4倍にのぼると言われています。

ネパールの紅茶は大規模オークションには出せないため、茶園が直接販売を行っています。
そのため、小規模ながら自由な発想と手作業による丁寧な製茶が可能で、複雑で深みのある味わいの紅茶が生まれています。

茶農家たちは、自分たちの茶葉を「我が子のように」大切に扱い、教育支援などを通じて地域に貢献しながら、持続可能な産業を築こうとしています。

ジュン・チヤバリの創業者、バチャン・ギャワリ氏はこう語ります。

「成功には時間がかかります。50年先を見据えて、一貫した努力を続けることが大切なんです。」

ネパールの紅茶には、そんな人々の情熱と希望が込められています。

※The New York Timesの記事を参照して日本語に翻訳、要約しています

最近、ダージリンを超えるかもしれない紅茶産地として、世界的に注目されているのがネパールです。
今回カフェをオープンするにあたり紅茶を探していたところ、出会ったのがこのネパール紅茶のひとつでした。

淹れてみると、まず飲む前からふわっと立ちのぼる香りに驚きました。
ここまで香りが広がる紅茶はなかなかありません。
期待が高まるなか一口飲むと、「なるほど!」と納得の味わい。
まろやかで滑らかな口当たり、しっかりとしたコクが口の中に心地よく残り、幸せな余韻に包まれます。

今回仕入れたのは「初夏」の紅茶。
ダージリンでいうところのセカンドフラッシュにあたります。
そのため、深みのある味わいとフルーティーな香りが特徴です。

製法の細部は省きますが、この地域では珍しい機械を導入し、香り高いお茶に仕上げています。
また、選別は一つひとつ人の手で行われています。
手間を惜しまない丁寧な作りが、この品質を支えています。

この紅茶の製法です。
This HRHT is Himalayan Royale Handcrafted Tips. Process is as follows:
ヒマラヤン・ロイヤル・ハンドクラフテッド・チップス

1:Hand plucking of tea leaves in the garden.(茶園での手摘み)
2:Withering in trough with shaking by manually during the process.(萎凋(いちょう:葉をしおれさせる工程)— 手で揺らしながら行う)
3:Rolling by machine(機械による揉捻(じゅうねん))
4:Oxidisation and heaping manually.(手作業による酸化と山積み(発酵工程))
5:Drying(乾燥)
6:Final drying(仕上げ乾燥)
7:Cleaning by visual inspection and by hand(目視と手作業による洗浄)
8:Hand sorting(手作業による選別)
9:Packing(包装)

紅茶は嗜好品であると同時に、れっきとした農産物です。
その国の産業や経済状況、労働環境、そして大地の持つ力や、その年の気候によって、品質も味わいも大きく変化します。

同じ茶園・同じ銘柄であっても、数年後にまったく同じ紅茶があるとは限りません。
また、同じ価格で手に入るとは言えないのが現実です。

どうぞ、一杯ごとに“一期一会つもりで紅茶”の風味をゆっくりとお楽しみください。